『日本沈没』原作小説のあらすじと感想、結末の解説をお届けします。※ネタバレあり。
崩壊危機に瀕する日本を救うために立ち上がった熱き男たちの奮闘記。1970年代の日本を舞台にしたSFスペクタクル超大作です。
2021年10月からは待望のリメイクドラマ版が放送スタート。ドラマを楽しむために原作のストーリーを予習しておきましょう♪
日本沈没の原作
日本沈没(にほんちんぼつ/にっぽんちんぼつ)は作家・小松左京が手掛けたSFスペクタクル小説。
これまで同作を原作とした映画やドラマ、漫画が数多く発表されています。
映画 | |
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【1973年】監督…森谷司郎、出演…藤岡弘、小林桂樹、いしだあゆみ、丹波哲郎、他 | 【2006年】監督…樋口真嗣、出演…草なぎ剛、柴咲コウ、及川光博、豊川悦司、他 |
ドラマ | |
【1974年】出演-小林桂樹、村野武範、由美かおる、小川知子、山村聡、他 | 【2021年】出演-小栗旬、松山ケンイチ、仲村トオル、杏、中村アン、他 |
ラジオドラマ | |
【1973年】江守徹、太地喜和子、加藤武、他 | 【1980年】鹿賀丈史、島村佳江、巖金四郎、他 |
漫画 | |
【1970年代】制作-さいとう・プロ『週刊少年チャンピオン』連載。 | 【2000年代】一色登希彦『ビッグコミックスピリッツ』連載、全15巻。 |
アニメ | |
【2000年】監督-江﨑好絵、声優-上田麗奈、村中知、佐々木優子、 てらそままさき、他 |
「日本沈没」は1973年3月20日に光文社カッパ・ノベルスより上下2巻が同時刊行。上巻204万部、下巻181万部の計385万部まで伸ばし、「空前の大ベストセラー」と評された。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/日本沈没
日本沈没 ネタバレ解説と原作の結末
【日本沈没】原作小説のあらすじと結末をザックリ解説。※ネタバレあり。
映画版やドラマ、漫画版などで登場キャラや結末に違いはありますが、メインとして描かれている『大陸プレート異常変動による日本沈没の危機』『政府主導の極秘プロジェクト』などは共通しています。
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- 原作小説のメインキャラクターは潜水艇技術者の小野寺、物理学者の田所博士、内閣総理大臣・山本の3人。
- 冒頭は海底開発工業の技術者・小野寺(2006年映画版では草なぎ剛さんが演じた)のもとに田所博士という地球物理学者が現れるシーンからスタート。田所は日本沈没の可能性を探る人物で、周囲いわく”ド変人”。
- 小野寺と田所博士は潜水艇『わだつみ』に乗船し海底を調査。すると日本海溝の底に長さ11キロに及ぶ亀裂を発見Σ(゚Д゚)『海底で何かが起きている…!』田所博士は原因究明をいそぐことに。
- 小野寺は上司のススメで安倍玲子という令嬢と恋仲になる(2006年映画版では柴咲コウさんが演じた)。伊豆の別荘でイチャついていると、海の向こうで火山が噴火!死者200人オーバーの大惨事となったが、これはまだほんの序章だった。
- 総理官邸では地質学者らが集結し事態掌握をはかる。噴火の原因は太平洋側のマントル(地球の核を覆う層)が関係していると断定。『地球は生きてるんだね』総理が名言をかます。
- 裏社会の大富豪・渡老人(政界を牛耳るフィクサー)の声掛けで『D計画』が発動。日本沈没を阻止するため、田所博士、小野寺、地質学者、政府関係者など数名のメンバーが招集された。
- その後も日本各地で地震、津波、噴火、それらに付随する二次災害が多発。関東ではマグニチュード8の大地震が発生。全国で360万人以上の死者を出す。
- 日本はあと10ヶ月で沈没することが明らかに。もはや打つ手立ては無い…【D計画】を極秘裏に進めていた総理と田所博士は新たに【D-2計画】を発動。これは日本国民を世界各国に難民申請する計画だった。
- 総理は国連や各国の大使を通じ難民受け入れを懇願。しかしどの国の首脳も『大量の日本人が来たら国メチャクチャにされる、病気とか犯罪とかー!』と警戒し、感触は思わしくない。それでもめげずに頭を下げ続ける総理。『人間の血は温かいはず』と信じて。
- 潜水艇技術者の小野寺は結婚を誓いあった安倍玲子とスイスに避難することに。しかしその当日、伊豆にいた玲子は富士山噴火により被災。『先にスイスに行ってて、私も後で行く』二人は電話で再会を約束するも、その後玲子とは音信不通に…。
沈没不可避となった日本。どうなる日本人!?物語は衝撃の結末へ…!
日本沈没の結末
『日本沈没』原作小説の結末です。※ネタバレあり
- 海外の地質学者のシュミレーションによると、日本はあと11日で海の底に沈むΣ(゚Д゚)国民の約半数はアメリカ、中国、オーストラリアなどに渡ったが、まだ6000万人以上の避難先が決まっていない。
- もはやこれまで!政府は救助活動の終了を告げ、D計画メンバーは解散となった。
- 田所博士は日本と心中することを決意。最後に総理と面会し『日本人を頼みます。私は日本人を信じたい!』と訴えた。
- 小野寺は愛する安倍玲子を探す旅へ。死亡したと思われた玲子だったが、奇跡的に生き延びて国外へ脱出しており、スイスへ向かう列車に乗っていた。『地球のどこかで…』。再会を信じて旅を続ける二人。物語はここでフィニッシュ【終】
『日本は沈没を免れなかった』という辛口すぎる結末。沈みゆく日本と運命を共にすることを選んだ田所博士が胸アツでした(TдT)
日本沈没の原作を読んだ感想。ネタバレあり
『日本沈没』原作小説を読んだ感想です。ネタバレが含まれるのでご注意ください。
慣れ親しんだ日本の土壌が無残に崩れゆくさまが描かれた『日本沈没』。我が日本が舞台ということで、アルマゲドンや『2012』などのハリウッド系とは一線を画す、日本人の魂をピンポイントに揺さぶるSF超大作となっていました。
とにかくスゴかったのは、日本が海底に沈むメカニズムが徹底した科学的根拠を元に説明されてたこと。
このリアリズムにより『日本沈むわけ無いべw』という甘々な考えは早々に吹っ飛び、圧倒的絶望感を伴って作品に没入することができました(;゚Д゚)ニホンオワタ!
「日本沈没」のテーマとは?
スペクタクルな崩壊シーンが強く印象に残る内容でしたが、原作者・小松左京氏のインタビュー記事を読むと、物語の真の恐怖は実は『物理的沈没』ではなく『精神的沈没』にあることが分かります。
「生きて逃れたたくさんの日本民族はな、これからが試練じゃ。(中略)外の世界の荒波を、もう帰る島もなしに、わたっていかねばならん。」
国を失い、世界各国に難民として移住することになった元日本人たち。ひとつの民族としてこれほどの恐怖と屈辱はありません。
名もなき流浪の民と化した”元日本人たち”はこれから先、何を心の拠り所にして生きていけばよいのか?この不安と喪失感こそが日本沈没で描かれた真の恐怖なのです。
そして、小松左京氏が物語を通じて訴えたかったのは『国を失っても日本民族として強く生きよ』という熱き願い。
『日本沈没』は、僕たち日本人が普段感じることがあまり無い”民族”という意識を呼び覚まし、その誇りや矜持に目覚めほしいという願いが込められた作品なのです。
バッドエンドだけど…ラストは希望!
ラストに描かれた小野寺技師と阿部玲子の再会への旅も、日本民族復活を暗示するハッピーな未来へのプロローグ。
いつか異国の地で再会した二人が子供を授かり、民族の芽は再び花を咲かせるだろうという希望のつまったシーンでした。
それプラス『日本人を信じたい!!!』という田所博士のシャウトを聞いたら奮起しないわけにはいきません。
日本沈没の結末は『日本人ならやれる!』『日本人ガンバレ!』というエールに溢れたポジティブなバッドエンドだったのです。
家事作業映像に日本沈没を鑑賞中。小林桂樹演じる田所博士のインパクトが凄まじいです。「わからん!!」 pic.twitter.com/6hpfCdci32
— ロボ石丸 (@robo1954) March 14, 2015
映画版『日本沈没』で田所博士を演じたのは『裸の大将』で知られる小林桂樹さん。ジブリ作品『耳をすませば』で「地球屋」のおじいさん役の声優を務めたあのお方です。
ワイルドイケメン潜水艇技師・小野寺を演じたのは『コーヒー美味しくなあれ』でおなじみの藤岡弘さん。初代仮面ライダー(1号)の中の人としても有名です。
昨年11月の藤岡弘、氏の芸能生活55年記念のFCミ―テイングで、「出演作で今、皆さんに見てもらいたい作品は?」の質問に、「日本沈没」をあげられました。
今のような日本の状況だからこそ、そしてご自身の役者としての試練の思い出等々含めて、若い人にも見て欲しいとのことでした。#日本沈没 pic.twitter.com/JfIgKpiIc8
— GR-7 (@ggrasperZX) August 10, 2020
日本沈没 原作まとめ
日本人の心の奥底に眠る民族魂を呼び覚まし、危機管理の重要性とリーダーの在り方を説いた名著『日本沈没』。
災害大国である日本が、ピンチの時に頼ることのできる真の友邦(国)を持つことの大切さ。ここも重要なメッセージのひとつに感じました。
平和にどっぷりの現代日本人が今こそ読むべき一冊!エンタメとしての完成度もハンパないです。
2021年放送のドラマは原作を一新した『現代版』となっているので、今節の災害対策や危機管理がどう描かれるのか楽しみです。
Netflixから世界配信もされるとのこと、日本エンタメの躍進にも期待ですね♪
「本作も放送直後にNetflixで配信されます。つまり、“世界で戦える作品であること”が、そもそもの大命題としてありました。大事なのは地上波云々ではなく、“作品として面白いかどうか”なのです」。
出典:毎日新聞『日本沈没』
日本沈没 2021年ドラマ版のあらすじをネタばらし
\ダイジェスト映像初公開‼️/
ついに来週日曜スタート✨
これを観れば #日本沈没 が分かるダイジェストスポットが公開になりました👏人々の希望を絶やさないようにリーダー達が立ち上がる‼️
10月10日の初回をお楽しみに🤲#希望のひと#小栗旬 pic.twitter.com/yfxRXW8smE
— 10/10⭐️日曜劇場「日本沈没-希望のひと-」 (@NCkibou_tbs) October 3, 2021
2021年10月スタートのドラマ『日本沈没-希望のひと』はこんなあらすじとなっています。※ネタばれ含む。
主人公・天海啓示(小栗旬)は野心あふれる環境省の官僚で“日本未来推進会議”のメンバー。天海は地球物理学界の異端児・田所博士の“日本沈没論”を通し、日本の未曾有の事態に巻き込まれていく。
原作に大きくアレンジを加えて新たにお届けする今作は、主人公を含めオリジナルキャラクターで、2023年の東京を舞台に、今だからこそ描くべき物語。
沈没という目に見えない危機が迫る中で「見出していく希望」をテーマに描いていく。
原作小説と大きく違う点は、原作キャラが田所博士しか登場していないこと。原作のメインキャラだった潜水艇技師・小野寺も未登場のようです。
小栗旬さん演じる天海や他の主要人物は、ドラマ版仕様のオリジナルキャラとなっています。
↑香川照之さん演じる学界の異端児・田所博士は原作に登場した唯一のキャラ。原作以上のド変人仕様となっています(笑)
「田所博士を演じた香川照之さん。あの独特な話し方は香川さんの計算通り。研究に没頭し、人と話し慣れていない感を出したとのこと」と説明した。
ドラマ版の結末を考察。”希望のひと”の意味とは?
いよいよ本日(2021年12月12日)最終話を迎えるドラマ版『日本沈没~希望のひと』。
第1話からずっと視聴してきましたが、現代版ならではの時事問題がわんさか取り入れられており(陰謀論、未知の病の恐怖、環境問題、テロの脅威など)、ここは原作以上に楽しめたポイントです。
そして…原作同様『沈没』が避けられない状況となってしまった日本…(T_T)!
ラストは世界各国への難民申請が無事成功し、原作どおり『国を失った日本民族の奮起』という哲学的テーマに帰結するのか?もしくは日本は奇跡的に沈没を免れるのか?終着点が気になるところです。
僕の甘々な願望を言わせてもらえば、日本まるごと沈没はギリギリ回避されてほしいです。
そして、残ったわずかな領土で日本は再スタートを切り、それを主導するのが天海や常磐などの若きリーダーであってほしい。
ドラマのサブタイトルにある『希望のひと』は、”日本を物理的な沈没から救う救世主”という意味ではなく、激凹みする日本人たちに希望を与える人って意味でもいいんじゃないかな~と。
なのでわずかでもいい、未来に希望の残る結末に期待しています(*^^*)
というわけで以上、『日本沈没』原作小説のあらすじ解説と結末ネタバレをお届けしました。最後までお読み頂きありがとうございます☆

日本沈没 見逃し配信&SNS
ドラマ『日本沈没』の見逃し配信サイトや公式SNSの紹介です。
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